親でも先生でもないから教えられること。星野村の山村留学の子ども達@福岡県八女市

木に登って歌を聴く。

山村留学。小学生が、一年間親元を離れて、農村に暮らすこと。

これは、小学生にとっては大冒険ではないでしょうか。

「星野村山村留学センター」には福岡県内外から集まった十数人の子ども達が、テレビもDSやポケモンもない山奥で、集団生活を行う。
星野村山村留学センター。

食事は、大人が作ってくれるものの、洗濯や掃除など生活に必要なことはほとんど自分達で行い、寝る時は大部屋に布団を敷いて雑魚寝する。
星野村山村留学センター2

星野村山村留学センター3

星野村山村留学センター4

自分のことは全部自分でやる。

一見するとわくわくするけど、修学旅行みたいに1泊2日ではなく
1年間この生活をするのです。

初めて出会う子ども達と、初めての共同生活。

学校は、近所にある小学校に編入のような形で通います。

星野村。

星野村2

そして、星野村は気候が厳しい。
夏はそれなりに暑いし、冬は寒い。

元気な男の子はそれでも一年間を半袖で過ごそうと頑張っている。

そう、ここにはいろんな子ども達が来る。

驚いたことに「自分から希望して」この場に来たという子が多い。

親に連れて来られた子もいる。

そういう子は、ここで相当の挫折を味わうこともあると思う。

でも、ここに来たら後はみんなで生き抜くしかない。

僕は、毎年秋に、星野村を訪れるけど、何も分からない春を越え、厳しい夏を乗り越えた子ども達は、もうどこか達観していて、すごく良い顔で過ごしているのを見る。

面倒を見てくださるのは、幾人もの子ども達を、この山村留学センターで迎えてきた石川先生。

優しい時も多いけど、基本は厳しい。

ちゃんと厳しい。

自分で行うべきことができていないと「ちゃんと叱る」

このちゃんと叱るということが、昨今はどの家庭でも難しくなってきているのではないでしょうか。

だから、山村留学も、厳しいことを前提に子ども達に来てもらう。

途中で挫けそうな気持ちではなく、最後までやり通す意思があるか、石川先生は子ども達に聞いてから、迎える。

ここではただ、集団で生活をするだけではなく、みんなで1年を通して何かを作り上げることも行います。

それが、石川先生の教えてくださる、剣道和太鼓

どちらもかなり本格的に行い、和太鼓は「山留太鼓」として様々なイベントに出演もする。
かなり大きなステージにも立つ。

子ども達がここに来て学ぶことは、計り知れないほど多いと思う。

そりゃあ、子ども達からしたら「とんでもないところに来たなあ」と思うかもしれない。

でも、厳しい気候で、質素な生活の中で、人どうしの繋がりは深くなる。

石川先生や、スタッフのあけみさん。
星野村の手伝ってくださる皆さん。

そこには、とても深い愛がある。

だから、例えば去年、兄弟の兄が参加して、その体験談を聞いて、羨ましくなって、今年は弟が来る、と言ったこともあるそうです。

こうした親元を離れて、心、体、そして人との接し方、礼儀を学ぶ体験は、九州に入ってから、期間の差はあれど「通学合宿」という呼び方で、いくつか耳にします。

こうしたことを家庭で教えることができないという現代。

これは本当に重要な課題なんだと思う。

子ども達がまっとうな大人に育つことを望むも、家庭でも、学校の先生も、ちゃんと叱ることができないことが多いのではないでしょうか。
僕がこの星野村の山村留学を訪れる時、いつもこの場所が貴重だと思うのは、石川先生がいることによる。

石川先生はぶっきらぼうで厳しい。
そして(すごく恐い顔で)叱る。
僕が子どもだったら震えあがってしまうくらい。

にも拘わらず、愛がある。

それに気づくからか、子ども達は、ある逞しい反応を見せる。

翌日の学校の為に、ちゃんと宿題をこなすこと。
忘れ物がないようにセルフチェックをすること。

証が遊びに来たから気がゆるむ子ども達に

「明日は学校の後期が始まる節目です」

「明日くらいは忘れ物がないようにしましょう」

「ここまで言っているのだから、明日何か忘れたということは、ないように、自分でチェックしてから、遊ぶこと」

この時の恐さ、厳しさは僕の芝居時代の稽古を思い出しますね。

それでも、きっと忘れ物をする子はいる訳です。
そして震えあがりながら、怒られる訳です。

でも、怒られた直後、また隙を見て遊ぼうとするのです。

現代の子ども達に必要なものは、ここなのです。

ちゃんと叱る恐い親。

その隙を見て遊ぶ子ども。

どちらが欠けてもいけない。

子どもは怒られて、人との距離感を学び、そして、怒られてもへこたれない子どもになっていく。

僕がこの山村留学の子ども達の逞しさに安心したのは、全員で怒られた直後に、早くも遊び始める子どもがいることなのです。

そしてまた怒られるのだけど、人の関係はこれでいい。

親と子の関係はこれでいい、と思う。

石川先生は、こういうことをちゃんとコントロールして行っている。

こういうことができる人が、果たして何人いるだろうか。

これは職人技だと思う。

そんな「星野村山村留学センター」の子ども達に、森の歌プログラムを行ってきました!
木漏れ日。

まずは、体を動かすことから!「ホップくんの歌」

今回は、子ども達だけではなく、なんと八女市役所の新入職員の方達が偶然、研修でいらしていて、一緒に体験をいただくことになりました。
まずは体を動かすことから。

そして、しっかりと大地に背中を着けて聞いてみる「パイオニアソング」
ゴロン。

僕のこのプログラムは「お昼寝プログラム」とも呼ばれていて、途中で寝てしまってもいいわけです。
なんと幸せそうな風景。
ゴロン。

今度はうつ伏せになって聞いてみる。虫の視点で森を見てみる「ビオトープ」
うつ伏せになって聞いてみる。

最後は、好きな体制で聴いてもいいよ、木に登っても聴いてもいいよ、と言ったら、なんと子ども達のほとんどが木に登って聴いたという、森の歌会でもなかなかない光景!
木に登って聞いてみる。

「大きな木」という歌を歌いました。

さて、最初に子ども達には

「僕は、お客さん側のシチュエーションを変えることによって、歌の聴き方を変えるアーティストです」

「座っている時、寝転んでいる時、部屋の中にいる時、森にいる時」

「どんな風に歌の感じ方が変わるか、それぞれ試してみてください」

と説明したんですね。

今回の子ども達は、歌の間、とにかく感じることに集中していました。

背中を着けて寝ている時も、うつ伏せになる時も、そして、木に登っている時でさえ、ちゃんと心のアンテナを立てて歌を聴いてくれたんですね。

この星野村に子ども達が来てから半年。
こんな風に感性を澄ませることができるほど、子ども達は達観していました。

こんな感性で過ごせる子ども時代を、僕はとても羨ましいと感じました。

歌を聴いてくださった、石川先生、あけみさん、星野村山村留学センターの皆さん、八女市役所職員の皆さん、どうもありがとうございました!

オマケ。

星野村は有名なお茶の産地。
美味しいお茶をいただきました!ご馳走様でした。
茶畑。

八女茶。

さて、九州では今週は下記のイベントの参加者を募集しています。

皆さんとお会いできますように。

【大分】★10/14(金)美味しい珈琲と森の歌ライブ@佐伯市モカ珈琲

【大分】10/15(土)マリーヒル 森の歌ライブ@日田市

証の音楽はこちらから聞いてみてください。「パイオニアソング」

森の生き方を知ると、あなたの生き方が変わる。10月は九州で、11月は関東で、森の歌会のご依頼を受け付けております。1本の木があれば、深い自然を歌と共に感じられます。自然体験団体、森のようちえん、子育て支援、福祉施設様などの、体験内容や料金も応相談!

【下記のフォームよりお問い合わせください】
http://akashi.uzura.info/mailform/

【森のシンガーソングライター証(あかし)プロフィール】

森の中で、歌を聴こう。

「森と歌を繋ぐ専門家」として、日本全国の森で、森の歌ライブを展開しています。
森の景色、森の音、焚き火、ナイトウォークなど、様々な自然体験と共に、森の生き方から学ぶ人の生き方を説く「森の歌会」が好評。

クラウドファンディング「【日本初】森と音楽の専門家の大挑戦プロジェクト!失われる森を守るためキャンピングカー生活で全国をまわる!」を達成率132%で達成し、手に入れたキャンピングカー「ココニクル号」で、定住しない生活をしながら、現在日本全国の旅をしています。

本名 山田証。福井県出身。東京都多摩市本拠。シンガーソングライターとしても活動の一方、自然科学にも興味を持ち、林業、造園業、環境教育、インタープリテーションの手法を学ぶ。

2008年「エデン風景」がFM福井主催、福井ホームタウンソングコンテストでグランプリを受賞。
2010年「雨粒ノック」が、エコジャパンカップカルチャー部門エコミュージックにてCMディレクター中島信也氏による「中島賞」を受賞。
2014年 「地球ワット」が、同コンテストにてグランプリを受賞。ミュージシャンとしては初の二度の受賞を達成する。

国土緑化推進機構の機関紙「ぐりーん・もあ 2015 vol.70 夏号」にも登場。

森林インストラクター(全国森林レクリエーション協会)

森の歌会 vol.19 あの山に登ろう

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