台風の日の森の姿。「星ふる学校 くまの木」「サシバの里自然学校」に行ってきました@栃木県
これは少し前のあの台風の時の話です。
栃木県に滞在していた時に、とても魅力的な自然体験施設に二つもお伺いしたのに、なかなかアップできず、今になってしまいました。
この日、すごい台風の雨の中なのに、旅のシンガーソングライターを温かく迎えてくださった素晴らしい人たちをご案内します。
塩谷町旧熊ノ木小学校は1999年3月31日をもって廃校となり、124年の歴史に幕を閉じました。その間2,888名の児童が卒業し、社会に巣立って行きました。楽しかったことや悲しかったことなど、旧熊ノ木小学校の木造校舎には、ここで学んだ子供たちのたくさんの思い出が残っています。
廃校は時代の流れでやむを得ないとしても、この懐かしい木造校舎をいつまでも残したい、再び地域のシンボルとして復活させたい、というのが地域の方々の願いでした。そこで、地元の方々が中心になり、熱心な検討が続けられた結果、2002年4月に旧熊ノ木小学校は宿泊できる体験学習の拠点施設 塩谷町やすらぎの体験交流施設(愛称:星ふる学校「くまの木」) として生まれ変わりました。
(http://www.kumanoki.or.jp/old/shokai/index.htm)
栃木県塩谷郡にあるこの元廃校は、今や年間6000人もの利用客がある自然を体験できる宿泊施設です。
その半数の3000人が夏場にやってきて、多くは学校団体や自然体験団体が利用していると言います。
それほど広報をしなくても、毎年それだけの人が来る宿泊施設。
廃校利用の例としては、なかなか興味深いのではないでしょうか。
この施設の皆様の温かみ、昔の学校のノスタルジーをちゃんと残しながら、利用しやすいように作られている設備、みんなに愛されているのだと思います。
もちろん一般のお客様も気軽に利用できますよ。
お友達同士のご旅行などいかがでしょうか。
今回ご案内いただいたのは、先日「アニマnet」でのアユ掴み取りでもお世話になった香野哲大さん。
こちらの記事でもご紹介しました。
命をいただくということ。アニマnet いきもの調査隊、アユつかみ編。
まずは校内を見てみましょう。
学校だった頃のままのほっとするような板張りの廊下。
リビングルーム。珈琲を飲みながら団らんできるようになっています。
元は何室だったんだろう?
広い畳の間。
大勢で来ても楽しく枕投げができそう(怒られます)。
食堂。食事も厨房スタッフの方が作ってくださいます。
土間のような渡り廊下。
いろんな自然体験の備品が干してありますね。
体育館。香野さんの趣味?でクライミングウォールがあります!
そんな香野さんは、校舎の中庭?にある平屋で一家で暮らしながら「くまの木」の運営管理をしています。
さて、こんな台風の中「せっかく来たんだから森が見たい」という証の希望を受けて、なんと香野さんに
台風の中の森へ案内していただきました。
香野さん、すみません。良い子はマネしないでくださいね。
なんとトレイルが川になっています。
人が植えたスギやヒノキの林は、放置されると林床に光が届かなくなる為、基本的に下草がはえにくく、結果むき出しの土の地面となります。
本来の広葉樹も交えたいろんな木がある山であれば、落葉や様々な有機物がスポンジのような土を作り、それを下草の根がネットのように抱え込むことで、たくさんの雨が降っても地面に吸い込んで保水しておける機能があります。
放置されたスギやヒノキの人工林では、地面が水を吸収せず、そのまま道に流れ込み、このようにトレイルを川にして川下の増水を招くのです。
そしてなんと、このトレイルは「通学路」でした!
学校がまだ開いていた頃は、この道を通って生徒たちが登下校していたんだと思うと
今の僕たちの暮らしが、あの頃からどんなに急速に発展していったかが分かる。
右側が植えて数年のスギ林で、左側が数十年経ったスギ林。
山主さんが未だにきちんとスギを育てようと頑張っておられる。
スギ林だけでなく、ちゃんとコナラの林もある。
普段はこのあたりを使って、子ども達が体験に来るのかな。
台風の日の森は静か。
雨はどんどん強くなる。
でも風はない。
木立が風を森の外に受け流すからです。
森の中にはあまり風は入って来ず、森の周りや木立を上をすごい風が吹き抜けていく。
森が我々を守っている。
台風の日に森で過ごす動物の気持ちが少し分かりました。
香野さん、くまの木のスタッフの皆さん、とても貴重な体験でした。
どうもありがとうございました!
家族で自然学校を始める。
これはなかなか素敵なことじゃないでしょうか。
サシバの里自然学校の遠藤孝一さんは「日本野鳥の会」の常務理事であり「NPO法人オオタカ保護基金」代表を勤める。
サシバって何?という方はぜひこちらのサイトをご覧下さい。
絶滅が危惧されるワシ・タカ類の一種です。
http://goshawkfund.jp/02_ecology/02.html
ご子息の遠藤隼さんは、長年勤めた「ホールアース自然学校」を退職後、自転車でユーラシア大陸と南米大陸を横断するという旅に出る。
『エコ』旅日記 ~from Japan,to Japan, 世界一周~
そして旅を終えて、この栃木県の古民家で、家族で自然学校を始める。
サシバの里自然学校の裏にある広大な森はサシバの営巣地でもあり、そのサシバの餌となるカエルなどが繁殖する田んぼもある。
栃木県東部の市貝町は、日本でも屈指の里山のタカ・サシバの繁殖地です。
サシバの子育てには、巣をつくるための森、餌となるカエルなどを捕る田んぼの両方が
必要です。ここ市貝町には、そんな昔ながらの山間の田んぼ『谷津田』がたくさんあります。
(http://www.sashiba-ns.com/about)
サシバという鳥は、まだ里山があり、人里の田んぼがあった時代だからこそ、この日本で繁殖できたと言えるでしょうか。
人間と自然が共生したモデルケースとも言われる「里山」ならではの貴重な種と言えるでしょう。
ここに来る子ども達は、里山暮らしを通して、サシバやその他の生き物達と暮らしていく術を学ぶ。
サシバの里自然学校の皆様は本当に素晴らしい。
スタッフの皆様、お人柄温かく、この日もいきなり来た旅のシンガーソングライターを迎えてくださいました。
この日は台風にも関わらず、たくさんの子ども達がキャンプに来ていて(それもすごい)、夜はあまりに雨風が強いので、夜の森プログラムができずにいたのです。
そこへ旅の、森のシンガーソングライターふらりと?現れたので
急遽「古民家森の歌ライブ」を開いていただいたのです。
子ども達は、始まる前から興味深々で、僕がギターの調整をしているだけで、ひょうひょいとのぞきに来る。
「ねえ、どんな歌をうたうの?」
「森の歌だよ」
「自分で作ってるの?」
「そう、ほとんど僕が作った歌だよ」
「ねえみんな、すごいよ、自分で作った歌だって!」
普通は知っている歌がないと残念がるものだけど、ここの子ども達は「オリジナル曲」であることに興味を示す。
栃木に来て「アニマnet」さんの時も思ったけど、栃木の子ども達は虫でも鳥でも、みんなが好きなカブトムシやらクワガタといったミーハーなものよりも、珍しいもの、独自のもの、に反応が良い気がする。
もちろんこれは、昆虫なり鳥なりの専門家の周りに集まる子ども達だからとも言えますが
何かに興味を持ち、それを伸び伸びと吸収できる場を与えられた子ども達は本当に感受性が豊か。
この日は走り回る曲も、静かに寝転ぶ曲も、みんなで参加する曲も、どれも子ども達はちゃんと参加してくれて、夜まで大盛り上がりのライブとなりました。
台風の夜の、素晴らしいひととき。
サシバの里自然学校の皆さま、とても良い時間でした。
本当にありがとうございました。
さて、下記のイベントの参加者を募集しています。
あと4名参加者が集まったら開催です。
どうかよろしくお願いいたします!
【福井】苔の海で日本の文化を学びたい★9/25(日)「森の歌会 平泉寺白山神社編」@勝山市
証の音楽はこちらから聞いてみてください。「パイオニアソング」
森の生き方を知ると、あなたの生き方が変わる。9月は北陸で、10月は九州で、森の歌会のご依頼を受け付けております。1本の木があれば、深い自然を歌と共に感じられます。自然体験団体、森のようちえん、子育て支援、福祉施設様などの、体験内容や料金も応相談!
【下記のフォームよりお問い合わせください】
http://akashi.uzura.info/mailform/
【森のシンガーソングライター証(あかし)プロフィール】
森の中で、歌を聴こう。
「森と歌を繋ぐ専門家」として、日本全国の森で、森の歌ライブを展開しています。
森の景色、森の音、焚き火、ナイトウォークなど、様々な自然体験と共に、森の生き方から学ぶ人の生き方を説く「森の歌会」が好評。
クラウドファンディング「【日本初】森と音楽の専門家の大挑戦プロジェクト!失われる森を守るためキャンピングカー生活で全国をまわる!」を達成率132%で達成し、手に入れたキャンピングカー「ココニクル号」で、定住しない生活をしながら、現在日本全国の旅をしています。
本名 山田証。福井県出身。東京都多摩市本拠。シンガーソングライターとしても活動の一方、自然科学にも興味を持ち、林業、造園業、環境教育、インタープリテーションの手法を学ぶ。
2008年「エデン風景」がFM福井主催、福井ホームタウンソングコンテストでグランプリを受賞。
2010年「雨粒ノック」が、エコジャパンカップカルチャー部門エコミュージックにてCMディレクター中島信也氏による「中島賞」を受賞。
2014年 「地球ワット」が、同コンテストにてグランプリを受賞。ミュージシャンとしては初の二度の受賞を達成する。
国土緑化推進機構の機関紙「ぐりーん・もあ 2015 vol.70 夏号」にも登場。
森林インストラクター(全国森林レクリエーション協会)