詩「5年後」(山田証)
「5年後」
5年後 僕はそれを見た
通り雨の後でも
人が笑えるように
どんな嵐が来たとしても
恐れないで心で
決めるようになる
10年後 僕はそれを見た
あの時決めたことが
君を動かしている
そこにまだ家は建たないけど
一つ一つレンガを運んでいる
100年後 僕はそれを見た
そこにまた街が建っている
大きくはないけど
雲の流れをゆっくり眺めるような
そんな人々が住む
そんな場所
5年後 君は僕に言う
言いたいことをちゃんと
言えるようになりました
大きすぎて見えないことも
小さすぎて見えないことも
言葉にしました
10年後 君は僕に言う
ここまで一緒に来てくれて
どうもありがとう
これから来る人達の為の
道を拓けて本当に良かったよと
100年後 君はいないけど
どこまでも続く道を子ども達が駆ける
斜めの日がすべてを浮き上がらせて
木々も雲も人もみんな
うっとりとする
1000年後 誰かがそこに立つ
思いやりに満ちた目で
畑を耕す
その景色も
その心も
ずっと昔から受け継いで来たものだと
10000年後 地球が息をする
白く朽ちた建物が
谷のように覆って
なんだかずっと輝いている
いまの世界よりもずっと
輝いてる
(山田証)