日常を非日常に置いてくること。レポート「ごろんコンサート廃校カフェ」@フィトンチッド
時間が止まった場所みたい。
という言葉は、そこに住んでいる人には失礼に聞こえるかもしれない。
でも、フィトンチッドのオーナーの西川さんは、あえてそういう場所を作ったのかもしれない。
日常から、非日常の場所へ。
様々なものをそこに置いてくる。
そんなことをテーマに、山梨県北杜市にある、廃校を改装したカフェ「フィトンチッド」にて、ごろんコンサートが行われました。
ここが小学校で、地域の子ども達が通っていた頃に思いを馳せる。
フォトンチッドに集まったのは、山梨県内や東京から、大人や子どもも含めて十数名。
今回のテーマは「時間を忘れてのんびりしよう」なので、最初は校内を見て回ったり、読書をしたり、お話をしたりして好きな過ごし方をしてもらいます。
そして僕もゆるゆると、校内でライブをさせていただきました。
冬の終わりの陽が暮れる。
手のひら越しに映る背中。
君はエジプトのジャムをパンに塗る。
(証「エジプトのジャム」より)
そうこうするうちにランチが出てきて、まずはみんなで腹ごしらえです。
フィトンチッドの西川さん(ご主人)は、なんと猟師!!
今回は自ら仕留めてきたシカ肉のシチューを出してくださいました。
野性味あふれる味で、なんて美味しい!!
午後からはいよいよ、近くの森へ出かけます。
子ども達は大はしゃぎで、どんどん先へ進みます。
そして、辿り着きました。
山梨県指定の天然記念物「日影のトチノキ」です。
樹齢は300年以上と言われています。
まだ廃校が小学校だった頃、この木もまた生き生きと子ども達を見守っていたのでしょうか。
今は、巨大な枝の一部が崩壊し、近くの地面に巨大な苗床を作っています。
僕は、夏に初めてここを訪れたのだけど、冬に来てみて初めて分かった。
茂みの葉という葉はすべて落ちて、枝と岩と一面の枯葉だけになったこの森は
夏の生命力の溢れる谷の湿地帯ではない。
この無機質で荒涼とした冬の風景こそが、この場所の本当の美しさであり、本来の姿なような気がしました。
そんな崩れ落ちたトチノキの巨大な枝のふもとで、ごろんコンサートを行いました。
少し寒いかと思いきや、やはり落ち葉の上にずっと寝転んでいると、温かく、気持ちが良いようでした。
皆さんとてもリラックスして、寝ころんで歌を聴いてくださいました。
この荒涼とした風景こそ、まさに非日常。
非日常は、日常のどんなことを吸い取ってくれるんだろう。
さて、その後はさんさんと降り注ぐ太陽の下、廃校カフェの校庭で最後のライブが行われました。
参加者の一人、金澤さんがギター弾き語りを披露してくださいました。
すごく歌のうまい方です。美しい声が、校庭に吸い込まれていきました。
最後は、今日の感想や思いを、詩にしてみる時間です。
「皆さんの日常の中で、ここに置いていきたい思いや、ここでこそ出てきた思いを詩にしてみてください」
そして、恒例ですが森のシンガーソングライターが、この非日常の中でまるでお焚き上げのようにメロディを付けて歌にするのです。
ご参加いただいた皆さん、いかがだったでしょうか。
今回は、どんな思いをこの場所で感じ、まだどんな思いを置いてきたのでしょうか。
この場所は、どんな風に過ごしても、やっぱり時間が止まっているように感じて
だからこそ、心の底からリラックスして、ここで過ごすことができました。
このような場所を作ってくださったフィトンチッドの西川さんに感謝です。
そして、快く場所を提供いただき、本当にありがとうございました!
ちなみに、今回会場の装飾として
ものすごくハイレベルなフェルト作品を展示してくださった参加者の「morin工房」の荻原さん。
なんと、フィトンチッドの飼いネコ、ジュピターそっくりの作品も作ってくださったのだから驚き!
ご参加いただいた皆様、どうもありがとうございました!
この記事の素敵な写真はyoocoさん撮影!
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本名 山田証。福井県出身。東京都多摩市本拠。シンガーソングライターとしても活動の一方、自然科学にも興味を持ち、林業、造園業、環境教育、インタープリテーションの手法を学ぶ。
2008年「エデン風景」がFM福井主催、福井ホームタウンソングコンテストでグランプリを受賞。
2010年「雨粒ノック」が、エコジャパンカップカルチャー部門エコミュージックにてCMディレクター中島信也氏による「中島賞」を受賞。
2014年 「地球ワット」が、同コンテストにてグランプリを受賞。ミュージシャンとしては初の二度の受賞を達成する。
国土緑化推進機構の機関紙「ぐりーん・もあ 2015 vol.70 夏号」にも登場。
森林インストラクター(全国森林レクリエーション協会)