木に歌を聴かせると何が起こる?レポート「ごろんコンサート山抱きの大カシ」
ずいぶん時間が経ってしまいましたが、この記事では2017年2月25日(土)に東京都あきる野市で行われた「ごろんコンサート 驚異的な山抱きの大カシ」の様子をレポートさせていただきます。
東京でもこんなに深い自然があるんだ!
こんな自然の楽しみ方ができるんだ!
それを声を大にしてお伝えしたい、本当に素晴らしいイベントでした。
集合時間、さっそくココニクル号の屋根に登る子ども達。
今回のゲスト、声優の上野アサさんとご主人の上野顕太郎さんも、子ども達と一緒に登ってくれました。
山に登る前に、あきる野市の山間の街並みを見ながら、みんなで歩く。
最初からずいぶん楽しそうで、ピクニックの始まりと行った雰囲気でスタートしました。
少しくらい寒くても、こうしてみんなで集まってしまえば温かい。
山の入り口にあるモウソウチクについて解説。
みんなで山を登る。短い距離の山ですが、かなり勾配があるので皆さん良い運動になったようです…。
少し登るとすぐに「山抱きの大カシ」が見えてきます。
山抱きの大カシは、樹齢300年と言われるウラジロガシの巨木です。
その姿は一度見たら忘れられないくらい荒々しくて、芸術品のように繊細な姿をしています。
いろんな自然解説をしながら歩きました。
山抱きの大カシの赤ちゃんの木はどれだろう?
不思議な存在感を放つモミの木を見上げたり、アオキの花芽を食べてみたり。
そして所々で、立ち止まって、寝ころんで歌を聴きます。
上野アサさんは、この場にぴったりの詩を用意して来て、凛とした声で樹木に朗読を聴かせます。
僕は初めて森の中でプロの「朗読」を聴いたけど、
こんなに良いものだとは思いませんでした。
言葉の一つ一つが
木の枝に、葉っぱに、幹の陰に飛んで行って
風景に吸い込まれていくのを
ただぼうっと見つめている時間。
木や草や、鳥や風や空気が
耳を澄ませているのを感じる時間。
なんて贅沢な時間なんだろう。
木に歌を、朗読を聴かせるとどんなことが起こるでしょうか?
木は、人間のように耳を持ってはいません。
人間のように、僕たちに言葉を話すこともありません。
でも、鉢植えの花でさえ、人間が毎日声をかけてあげると元気に育ちます。
森に歌を聴かせると、時々森の音や景色がそれに合わせて動きます。
森は意識を持っているでしょうか。
僕たちのような意識は持っていないと思います。
森のシンガーソングライターが、長く森で歌をうたって、森にどんな影響があるのか。
考えていることはこうです。
人間の意識はたくさんの自然物に入り込む。
僕たちが発する喜びも悲しみも、木や岩や水や空や、そうした自然物が吸い取っていきます。
もう少し言うと、その意識を受け止める為の隙間が、自然物には最初から用意されているように思います。
嬉しい気持ちで見ると、森も嬉しく見える。
美しさは変わらないけど、僕たちの感情によって、その度合は変わる。
もしこの世界で、人間が思考することの影響が(量子力学のように)少なからずあるのなら、見える世界も一人一人違う。
歌を通して森を感じることは、歌う人も聴く人も、森に意識を送っているような行為なのかもしれません。
機能すること。
もう一つは「森の機能性」です。
葉っぱの形や色、幹のボコボコや剥がれ方。
これらは皆、機能している形です。
木々が成長する為に、必要があってその形をしている。
つまり、飛行機のプロペラのように、木の美しさはどれも機能美と言えると思います。
僕たちが見ている森の風景は、ものすごく微細な機能美の集積した、壮大な機能美と言えます。
美しいこと=機能していること
が成り立つなら、逆も成り立つのかもしれません。
機能していること=美しいこと
つまり、僕達が目の前の美しい風景になじむように、その美しさを損なわないように、歌をうたったり、朗読をしたりする行為は、歯車にちょうど良い歯車を合わせるように、森に機能していく効果があるとは考えられないでしょうか。
歌をうたったら、森がコラボレーションしてきた。
木が風にそよいで同じリズムで揺れていた。
森の音がハモっていた。
参加者がこういう風に感じるのは、そもそも森が作り上げている機能美に、アーティストがうまく機能美を付随できた結果ではないでしょうか。
だから、僕は思うのです。
「良い意識の歌を、その森に似合うように歌うと、森に良い影響を与える」と。
では、今回感想として皆さんが書いてくださった詩に、森のシンガーソングライターが歌を付けたものを掲載します。
今回の皆さんの素晴らしい体験をぜひお聞きください。
「山抱きの大カシの歌1」
「山抱きの大カシの歌2」
「山抱きの大カシの歌3」
みんなでカフェでトーストをかじったり、温泉に入ったり。
森以外の要素も盛りだくさんで、楽しかったですね。
ご参加いただいた皆さん、どうもありがとうございました!!
この記事の素晴らしい写真はyoocoさん!
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「森と歌を繋ぐ専門家」として、日本全国の森で、森の歌ライブを展開しています。
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クラウドファンディング「【日本初】森と音楽の専門家の大挑戦プロジェクト!失われる森を守るためキャンピングカー生活で全国をまわる!」を達成率132%で達成し、手に入れたキャンピングカー「ココニクル号」で、定住しない生活をしながら、現在日本全国の旅をしています。
本名 山田証。福井県出身。東京都多摩市本拠。シンガーソングライターとしても活動の一方、自然科学にも興味を持ち、林業、造園業、環境教育、インタープリテーションの手法を学ぶ。
2008年「エデン風景」がFM福井主催、福井ホームタウンソングコンテストでグランプリを受賞。
2010年「雨粒ノック」が、エコジャパンカップカルチャー部門エコミュージックにてCMディレクター中島信也氏による「中島賞」を受賞。
2014年 「地球ワット」が、同コンテストにてグランプリを受賞。ミュージシャンとしては初の二度の受賞を達成する。
国土緑化推進機構の機関紙「ぐりーん・もあ 2015 vol.70 夏号」にも登場。
森林インストラクター(全国森林レクリエーション協会)