アラスカ日記、下見編20「氷河って何だろう?いよいよレコーディング!」

氷河は、一日に30cmほど流れているんだって。
氷河って何なんだろう?
実物を見るまでは僕も分からなかったんだけど、なるほどこれは、日本で言う、源流だ!
前に日本で僕が紹介した、奥多摩〜山梨にある多摩川の最初の一滴のようなもの。
「水干」水と森への概念が変わる@多摩川源流レポ前編。
これが、気候の厳しいアラスカだと氷の川になって、ここからちょっとずつ溶け出して、下流にあの壮大なマタヌスカ川を作り出しているんだ。
そこここから、水の溶け出しているチョロチョロと言う音が聴こえる。
とても小さな音だけど、氷河の上で耳を澄ませると分かる。
ここは、マタヌスカ氷河の終点。
マタヌスカ川の始まりの場所。
もちろん、氷河自体の源流もまた、気の遠くなるような奥地にあるんだけど。
氷河が溶ける度に現れる、数々の美しい石。
カリブーの足跡を発見。
こんな場所でも彼らは生活しているんだ。
さて、レコーディングはできるだろうか?
下見だけのつもりで来たけど、考えたら今日は雨のはずなのに、まだ降らない。
風邪の具合も思ったよりまだ軽い。
「一度、録ってみようか」という思いが湧き上がる。
今しかないかもしれない。
この後明日まで天気は崩れるだろうし、、僕の風邪もこの後は確実に悪化していくから歌えなくなる。
何より人気の観光地なのに、ほとんど人がいないタイミング。
まもなく冬に突入するこのシーズンに、寒々しい氷河を見に来ようという人はあまりいないのかもしれない。
そんなことを考えながら、車まで戻る。
またあの20kg近い荷物をザックに詰める。
常駐しているスタッフのお姉さんに、聞いてみる。
「この氷河で自然の音と音楽を演奏して録音しても良いか?」
「アコースティックの静かな音楽です」
「日本の子ども達に氷河のことを伝えたい」
すると、お姉さんはすぐに
「OK!それはいいね」
と言ってくれた。
「この後私がガイドするたくさんの人達が来る」
「しばらく騒がしくなるけど、16:00以降ならあまり人もいないんじゃないかな」
アメリカ(アラスカ)の人達のすごいところはこういうところ。
こういうことにも、自分で判断してフランクにOKと言ってくれる。
これが日本なら
「他のお客様のご迷惑になります」
「私の一存ではなく、組織の判断を仰ぎませんと…」
こんな感じで断られる場面だ。
アメリカ人のフランクさに感謝!!
(もちろん、ダメなことはちゃんとダメだと言ってくれるけど)
そんな訳で、思い切ってレコーディングしてきました!!
マイクは、こんな感じで配置します。
自然音を撮るH3と、VR動画を撮るリコーシータは、演奏者から6〜7mほど離れた距離に設置。
特にH3は、氷河が溶けて流れ出す水音の聞こえる場所に設置しました。
ここがクローズするのが18時。
機材を運んで、セッティングができたのが17時。
時間的に、演奏できても、録り直しは一回か二回までくらいかもしれない。
さあ、歌うぞ!
と思ったら、お客さんが歩いてきた!
中東系のカップル。
こんな時間からでも人が来るんだ、、、
せっかくなので、写真を撮ってあげたりしてご挨拶しました。
この二人がなかなかここを動かない。
何度も自撮り写真を撮り直しては、ずっと滞在している。
もちろん、ここは公共の場所だから、僕は待つしかない。
ひょっとしたら、僕の演奏が聞きたくて、わざと場を引き延ばしていたのかもしれない。
だけどこの時の僕は、どんどん悪化していく風邪と、日が暮れかけて寒くなっていく気温と戦って、一回でも歌う為の力を残しておくのに必死でそれどころじゃない。
雨もぱらついて来た。
ようやく一人になって、演奏準備に入る。
時間は17:20
もう時間がない。一回の演奏で決めないとならない。
歌おうとするも、どこかからセスナが飛んできたりして、更に時間は伸びる。
ようやく歌い始めるも、演奏を間違えて中断…
思い切り深呼吸して、氷河の水音に耳を澄ます。
「こんなすごい場所で演奏できるなんて、この先ないかもしれない」
「この景色に似合う、演奏をささげよう」
そう思って、演奏を始める。
見事、一回で演奏はOKテイク!
ちゃんと音を録れているか確認したいけど、その暇もなく撤収!
18:00ちょっと過ぎちゃったけど、スタッフの皆さんにご挨拶してマタヌスカ氷河を後にしました。
この後すぐに強い雨になる。
僕は本当に自然に助けられている。
後で聴いてみたら、ちゃんと音は録れていました。
僕の演奏も、氷河の水音も。
これが使えるかどうかは、エンジニアさん次第。。。祈ります!
そして僕の風邪もこの後、急激に悪化していきます…!
次の記事はこちら!
アラスカ日記、下見編21「その土地の風邪と戦い、その土地の強さを手に入れること」
前回の記事はこちら!
アラスカ日記、下見編19「僕は地球のどこにいるのやら忘れてしまった」
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