「水干」たくさんの生き物に助けられて出来る@多摩川源流レポ後編。
僕たちが普段使っている水道の水は、一体どこからやってくるのか。
そして、馴染み深い多摩川の源流はどんなところなのか。
東京都の水源である奥多摩湖より更に奥、多摩川になる最初の一滴と言われる笠取山の水干(みずひ)に向かっています。
前回までのレポートは「「水干」水と森への概念が変わる@多摩川源流レポ前編。」をご覧ください。
いよいよ、標高1700m以上。
霧が出て来た。
ここまで来ると、植林されている木もヒノキは姿を消し、この標高でも育つカラマツが多くなってきます。
そして、北海道などの北方か、亜高山帯にしか見られないシラビソも姿を見せた!
人工林と違って自然林はまさに神様の森のような様相を残していて
ミズナラの古木が苔やノキシノブなどに覆われて、その瘤から生えているのはミズキ?
いろんな生き物がそれぞれに寄り添って生きる。
胞子が顔を出すスギゴケ。
「森に灯りを灯すようだ」と誰かが言っていた通りの幻想的な姿。
樹皮が縦半分だけ綺麗に剥がれてしまった古木。
こういう木を九州の山地でも見ましたが、いったいなぜ半分だけ綺麗に剥がれるのか。
蜘蛛の巣に霧の細かい水滴が付くと、こんなに美しくなる。
蜘蛛の巣のあった木のそばには、根っこの隙間に沿ってところどころ、小動物が通れそうな穴が開いている。
そしてこの辺りは、どうやら土を掻き出したような跡が…これはひょっとして
アナグマの巣かもしれないですね。
根元から折れてしまった倒木。
もう枯れて腐っていたとは言え、こんな風に根元から折れるなんて、台風か何かだろうか。
どこからかシカの鳴き声が聞こえた。
そしたら、まもなくシカの群れに遭遇。
まだ背中に白い斑点が見える。小鹿かもしれない。
このくらいの標高になると、ほとんど人が来ない。だから、必然的にこの辺りの森は
野生動物の聖域なんですね。
いよいよ尾根付近に出る。
そこからはまさに聖域。
まるであの世に来たかのような風景。
標高が高くなると、それだけ成長できる樹木も限られてくる。
この尾根では、なだらかな斜面に一面の黄色い花が幻想的なオタカラコウ(ツワブキかと思いました)。
分水嶺に到着!
この碑の辺りを境にして、降った雨がどの方向に流れるかで、多摩川になるか、荒川になるか、富士川になるかが決まる。
僕は静岡~山梨の旅の時はずっと富士川沿いに行ったり来たりしていたので、富士川の源流ともなるここに来られて感慨深いです。
そしていよいよ、この尾根から見下ろす風景の場所に。
標高1864m、水干に到着しました!
水滴が落ちる場所が溜まりになっています。
手ですくって飲んでみました。
体が浄化されるような味でした。
思ったより冷たい。
山を浸透して浄化された水というよりは、まだ毒されていない上空の水をそのままいただいたような…。
少しですが、源流の水、持ち帰らせていただきます。
さて、この日は天候も悪く、周りに他の観光客もいらっしゃらなかったので失礼して
森のシンガーソングライターとして「雨粒ノック」を水干の神様に奉納させていただきました。
「雨粒ノック」
エコジャパンカップ2010カルチャー部門エコミュージックにて雨の循環の歌として、CMディレクター中島信也氏による「中島賞」を受賞。
ここまで歩いてきただけでも、いろんな生き物に出会って、痕跡も見た。
カラマツ、ヒノキ、ミズナラ、カエデ、シラビソ、コケ類、地衣類、アナグマ、シカ、イノシシ、そして無数の虫たち。
僕が感じたこと、
ここにあるようにいろんな生き物が住める森にすれば、僕たちは水に困らないはずだったこと。
山が崩れて水害になることもなく、日照りでも山に蓄えられた水がちゃんと流れてくる。
水が人の味方してくれるようになる。
日本は本当はこんな場所だったんだ。
ここに歩いてくるまでに、たくさんの生き物に助けられている場所だと実感しました。
僕達が使っている水は、これほどたくさんの生き物に助けられて出来る水。
そしてこの綺麗な水が、都市でどう使われるかによって、その先に流れる海の生き物達に影響してくる。
僕たちの都市での水の使い方を見ていると、すべてのしわ寄せが海に行くんだと痛感してしまいます。
ここに来て僕は決意を新たにしました。
「水干」をテーマにしたごろんコンサートを開催して、この場所から感じることをちゃんとみんなで共有したい。
この森のことを学びながらみんなで歩く、生歌コンサートの森林ガイドツアーです。
開催するとしたら来年になりますし、森に影響の少ない10名以下の少人数制になるかと思います。
今度は一緒に、この水干に行ってみたいですね。
ごろんコンサート「水干」、乞うご期待!!
証の音楽はこちらから聞いてみてください。「パイオニアソング」
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