その森にぞくぞく集まる。相生山徳林寺。キャンピングカーで森の旅371日目@名古屋市
時折、すごい出会いをすることがある。
特にこの徳林寺さんは、本当にすごい出会い。
これだけ面白そうな展開もなかなかない。
だって、偶然迷い込んだ森で出会った訳ですから。
参照記事はこちら。
「ぞくぞく繋がる予感の愛知県。キャンピングカーで森の旅350日目。」
今日は、その徳林寺さんで月に一度の朝市があると言うので観に来ました。
この相生山、不思議な場所で
広大な緑地の中に、ぽつりぽつりと住宅と、迷路のように小道があり、いつの間にかどこかの家の庭先に出たりする。
まるで、借りぐらしのアリエッテイに出てくるような世界だなあと。
いろんなところに、この先には何があるんだろう?とわくわくさせる小道がたくさん。
そして、こんな風にたくさんの人が押し寄せるお祭りが急に始まる。
朝市というから細々としたものかなーと思いきや、とんでもない。
森のそこここに車がいっぱいですでに停めきれない。
うわあ!すごい人!!
自家製の自然食品を売るお店とか。
バンの中で紙芝居とか。
ヒメホタルなどの相生山の自然写真展とか。
子ども達が歌いだしたりとか。
こんなに不思議で、人を惹きつける森があるだろうか。
僕が行ったどの森とも違う魅力。
ここでしか味わえないワールド。
そしてなぜ、毎月こんなに人が集まっているんだろ。
そんな徳林寺さんは、こんなお寺。
曹洞宗である徳林寺さんですが、自らのサイトの中で「あいおい国際禅院」を名乗っておられ、とにかくグローバルなお寺です。
宗教は今また新たに問われています。勿論どんな時代にあっても宗教は問われつづけて来ましたが
今日あらゆる問題がグローバル化,情報化される時代にあって、宗教はいかにあるべきかと新たな問いが投げかけられています。
(中略)
当禅院では修行は坐禅、相互講義、ゼミ的研究、相互研修、実践研修をもって行います。
しかし下記の課題をどの方法において研修するかは特定できないのでここでは銘記しません。
(中略)
本禅院において使用可能な言葉は現在日本語、英語、ネパール語、ネワー語
ヒンディー語等です。語学は互いにもてる語学能力で相互学習します。
現在(平成12年)協力してくださるベトナム、タイ、モンゴル、バングラデーシュなどから来名中の僧,学者との交流も出来ます。
(http://www.aioiyama.net/kokusai.html)
実際、初めてこのお寺に迷い込んだ時は、こんな光景が現れてびっくりしました。
タルチョというのでしょうか。ネパール語のお経が描かれている。
そしたらネパール人のような方が出てきて、あれこれ教えてくださり、更にびっくり。
ネパールから徳林寺にお弟子さんとして来ているそうです。
こんな建物も。
こちらの住職様、若い頃からインドに行っており、そこでたくさんの繋がりを作って来られたことで、こんなにグローバルなお寺が出来上がったらしい。
そんな住職様には、今回の朝市でもお会いできず…。
いったいどんな人なんだろう。
そんな相生山にも、実は転機が迫っている。
名古屋市が、この相生山を都市計画公園にするべく工事を始めるそうです。
(名古屋市WEBサイトより)
(前略)なかでも、都市計画公園・緑地として計画された区域内に占める民有樹林地の割合は大きく、緑の保全・活用のためにはできるだけ早く買収し、誰もが利用できるようにしたいと考えています。しかし、これら樹林地の面積は膨大であり、事業を実施するには多くの資金と時間が必要です。
(中略)そこで、地主の方々から土地をお借りして、これらの樹林地を活かしながら市民の憩いの場として整備し、また市民と行政が一緒になって樹林地を育てていく試みがこの「オアシスの森」で相生山緑地が第一号です。
(http://www.city.nagoya.jp/ryokuseidoboku/page/0000009519.html)
民有林は、特に都市部に置いては地主さんの意向一つで宅地として売られてしまったりする。
長い期間、森として残しておくのは本当に難しい。
だから、名古屋市が買い取ってくださるというのは、本当に素晴らしい。
だけど、僕が森のシンガーソングライターとして危惧しているのはこの部分。
人の手が入らなくなり、陽のあたらない暗く荒れた森になっています。
誰もが利用できるようにしたいと考えています。
日本の森のあり方として、一番疑問に思っているところ。
人は利用できないものを、利用できるように変えてしまう。
公園に整備されたら、この自由な朝市だって、いろんな規定に縛られることになるのだろうか。
人は、自分の手の届かない自然を、利用できるものに変えてしまう。
僕の好きなアラスカの写真家、星野道夫さんの言葉でこのようなやりとりがあったのを覚えています。
(実際の文章は抜粋できないのですが)
アラスカには広大な面積の荒野に莫大な量の原油が眠っている。
でもその荒野には、トナカイやムースを始めとした貴重な生態系が残っている。
その為に、開発にはもう何十年もの反対運動が続いている。
開発したい側としての意見は
「アラスカの荒野はセスナでも使わないと人が入れもしないような場所」
「多くの人間はそこに入ることも利用することもできない」
「入れもしないような荒野をなぜ残す必要があるのか」
一方、星野道夫がそこで語ってくれたことは
「自然は本来、人が入れもしないような部分があってこその自然」
「それが人の心に奥行きや豊かさを与える」
「人が全て利用して知り尽してしまったような自然に、何の意味がある」
正確な会話ではないですが、だいたいこのようなことを言っていました。
僕はこの話が大好きで、だからこそ相生山のように
人の手が入らなくなり、陽のあたらない暗く荒れた森。
誰もが利用できないような森。
に憧れ、初めて相生山を訪れた時も、人の手が入っていない姿だったからこそ、他にはない特別な森だと驚いたのです。
しかも名古屋市の街中でこんなに広い面積で。
人の手が入らない森は、森なりの再生速度で本来の姿を取り戻そうとしている。
それは数百年単位の話なので、人間はそれを待てないんですね。
今回出会った相生山は、名古屋市の開発はもう免れないみたい。
だけど名古屋市のサイトには
整備は必要最小限の施設とし、専門家、自然観察指導員や地主の方々からいろいろな助言や指導をいただきましたが、工事の完了が完成ではありません。「市民の手によって育てる」森づくりがまだ残っているのです。
(http://www.city.nagoya.jp/ryokuseidoboku/page/0000009519.html)
と記載がありましたし、現地でも「本当は公園ではなく、手の入っていないこのままの森がいい」という声がありました。
そのような声を踏まえて、人が利用するだけではない森にしてくださるよう、森のシンガーソングライターは願っております。
名古屋市の皆さん、よろしくお願い致します。
相生山の皆さん、どうもありがとうございました!
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「森と歌を繋ぐ専門家」として、日本全国の森で、森の歌ライブを展開しています。
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本名 山田証。福井県出身。東京都多摩市本拠。シンガーソングライターとしても活動の一方、自然科学にも興味を持ち、林業、造園業、環境教育、インタープリテーションの手法を学ぶ。
2008年「エデン風景」がFM福井主催、福井ホームタウンソングコンテストでグランプリを受賞。
2010年「雨粒ノック」が、エコジャパンカップカルチャー部門エコミュージックにてCMディレクター中島信也氏による「中島賞」を受賞。
2014年 「地球ワット」が、同コンテストにてグランプリを受賞。ミュージシャンとしては初の二度の受賞を達成する。
国土緑化推進機構の機関紙「ぐりーん・もあ 2015 vol.70 夏号」にも登場。
森林インストラクター(全国森林レクリエーション協会)
相生山緑地まで また今度お越しの節は お声かけ下さい。
森の妖精アイ様
コメントをありがとうございます!
次回、名古屋を訪れる時は、相生山にも寄らせていただきます!
相生山の森を知るごろんコンサートの実現を目指しております。
よろしくお願いいたします。