六呂師高原、標高約500mの森の姿。レポート森の歌会ハックルベリーの森。
福井県では、誰もが馴染み深い六呂師高原。
僕も幼いころ、父母に連れられて遊びに行ったことがあります。
だけど、いったいどういう高原なのか、どんな生き物がいて、どんな魅力があるのか、実はほとんど分からないまま大人になってしまいました。
今回は、ノーム自然環境教育事務所さんの「ハックルベリーの森」で、森の歌会を開催させていただきました!
まずは高原の風景をみんなで眺めながら、六呂師高原がどういう成り立ちで出来上がったものかを話し合いました。
高原に浮かぶ巨大な島のような岩は「伏石(ぶくいし)」。
数十万年もの昔に、経ヶ岳が火山として活動していた頃、溶岩がこの辺り一帯に流れ出し、この高原を作ったと言われています。
伏石はその頃の名残。
強大な溶岩の塊が、数十万年経ってこの地表に露出している。
地球の営みから見たら、高原に立つ僕たちの人生なんて、ほんの一瞬に過ぎない。
さっそく寝転がって、大地を背に感じながら、悠久の歴史を想像して歌を聴きます。
さて、今回ご案内したハックルベリーの森は、牧草地として開発されていった六呂師高原の中で、残された貴重な森。
元々は薪や炭を生産する為の森だったので、今でもクヌギやコナラの多い森。
多くの森が人間の産業の為に、牧草地に変えられてしまった中で、この森を残してくれた地主さんに感謝。
こうして身を隠す森があるだけで、多くの動物が生きられる。
このイベントをしている間や下見に来た時に、ここでいろんな動物が来た。
キツネ、アナグマ、アライグマ。
そしてノウサギの毛が生え変わった跡があったり、アカゲラのドラミングが盛大に鳴り響いたりする。
牧草地は確かに人間に必要なものだけど、こうしてちゃんと森を残すことで、人間や牛だけではない、多くの動物が生きられる。
さて、皆さんと森へ入ります。
5月は芽吹きの季節!
木に触れて歌を聴いてみる時間。
樹木に近い感覚になってみる。
これだけで、ずいぶん森のいろんなものが見えるようになる。
この時期に一番薫り高くなるクロモジの花。
そして、山菜の女王と言われるコシアブラに、ヤマウコギ。
紅葉より美しいと思う、モミジの芽吹き。
クヌギの花は、なぜ尾っぽのように垂れ下がっているのか。
キンキマメザクラの花はどうして下を向いているのか。
ツゲの蕾が、タマバチによって美しい虫こぶを作っていたり。
そんな森の英知を体現したようなあらゆる形を、皆さんで学んでいきました。
ここはどうしてこうなっているの?
どうしてこの木はこんなに倒れそうになりながら生きられるの?
森の中で皆さんに見つけてもらった不思議は、時間内には説明しきれないくらいたくさん見つかりました。
ごろんコンサートは、皆さんの感覚を研ぎ澄まし、どんな風に森と接したらいいかをレクチャーします。
皆さんの開いた感覚から見つけたいろんな森の姿を、今度は知識として解説していくのです。
それも、寝ころびながらゆるゆると感じられることを大切にします。
歌を聴きながら、眠ったり、自然を眺めたり、今回は詩を書いていただきましたよ。
参加者の皆さんの、ゆるゆるした姿をご覧ください。
さて、イベントの最後には、自分の書いた詩を発表してもらいながら、森で感じたことをシェアし合います。
今回の皆さんは、すごく感性を研ぎ澄ましてくれて、すばらしい感想がたくさん飛び出しました。
それが、出来上がった詩にちゃんと現れていて、僕も驚くような言葉やシーンがたくさん。
どんな詩ができあがったのか、僕がいくつかの方の詩に歌を付けてみたので、ぜひ聴いてみてください。
Kさんの歌。
Uさんの歌。
Aさんの歌。
Yさんの歌。
Tさんの歌。
Mさんの歌。
いかがだったでしょうか。
普段から詩を書くことのない方でも、こんなに素敵な言葉が生まれ、自分と森の関係を考える。
絶好の森の季節5月だからこそ、できた最高の時間だったと思います。
今回お世話になった森は「ハックルベリーの森」。
ノーム自然環境教育事務所さん、素晴らしい環境をどうもありがとうございました!!
ご参加いただいた皆様、どうもありがとうございました!
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本名 山田証。福井県出身。東京都多摩市本拠。シンガーソングライターとしても活動の一方、自然科学にも興味を持ち、林業、造園業、環境教育、インタープリテーションの手法を学ぶ。
2008年「エデン風景」がFM福井主催、福井ホームタウンソングコンテストでグランプリを受賞。
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森林インストラクター(全国森林レクリエーション協会)