神様の地で森を思い出す。レポート「森の歌会 平泉寺白山神社編」@福井県勝山市
自分と森はどんな関係があったんだろう?
「小さい時はいつも森を駆けていて、食べられる木の実も知っていた」
「大人になってからは、こんなに森と触れ合うことはなくなった」
今回の森の歌会に来てくださったお客様は、ほとんどが同じ福井県からの皆さん。
森林率70%以上を誇る福井県の皆さんから、そんな感想をいただきました。
都市は緑が少ない。
田舎は緑が多い。
でもそんなことは関係なく、都市に住む人も、田舎に住む人も、自然から離れていってしまう時代。
福井県に住む皆さんでも、周りにたくさんの緑があっても
「こうして森でゆっくり過ごしたことはない」
という言葉が出るほど。
でも、本当はそうなんです。
僕たちは、毎日の生活があまりに忙しくて、そんなことを考えている暇はない。
地方に住む方こそ、台風や大雪など、厳しい自然と闘いながら、毎日を生き抜く。
音楽は、そんな人達の森との関係を繋ぎなおす。
今回は神社へ参拝も兼ねて、一日がかりの心のリセットの日。
「森の歌会 平泉寺白山神社編」をレポートさせていただきます。
まずは、旧参道である菩提林の入口にて、平泉寺白山神社の成り立ちを説明。
菩提林とは、樹齢600年以上のスギの並木道であり、古代から様々な人が父母の冥福を祈り、参拝に訪れたことからこの名が付く。
苔むした石畳は、その昔、僧達によって、九頭竜川から一つ一つ運ばれてきたもの。
石の裏にはお経が刻まれており、念仏を唱えながら一つ一つ置かれていったもの。
この道の、はるか昔に街灯もない真っ暗闇の中を歩いた人達のことを思う。
この道を、一人で進む勇気。
坂道を登る体力。
参拝というのは、いつも試練を持って、成立する。
途中のブナの木の下で、歌を聴く。
早くも、寝転がって、森を全身で感じる。
この時、飛び入りで演奏してくださったのは「倍音声楽 愛」さん。
(プロフィールより一部抜粋)
世界中の大自然や神社仏閣の音と調和・融合し日本の古の歌『いろは歌・ひふみ祝詞・あわの唄』を奉納。
倍音声楽 愛
http://ameblo.jp/voice3333
僕は森林専門のアーティストですが、愛さんは神社専門と言えるでしょうか。
その歌声は、この場所に特殊な意味づけをするように、八百万の神様に呼びかけるように、堂々と響いていきました。
とても新鮮な体験でした。
愛さん、ご参加くださり、本当にありがとうございました!
今回も森に興味津々の子ども達もいたので、少しだけ自然観察も行いましたよ。
しばしの休憩。
素敵な蔵の中で、勝山地元の食材を使ったお弁当をいただきました。
さて、元気になって後半は、いよいよ境内に参拝です。
日本にここにしかないと言われている権現造の鳥居を説明。
ここでは神仏習合について学びます。
「権現である」と言って現れた女神の池「御手洗池」
泰澄は、古代の閉鎖的な山岳信仰に、仏教的な意味づけを行い、人々が受け入れやすい普遍的な宗教へと変えていった。
「拝殿」焼失する前は、もっと大きなものだったが、一部を江戸時代に復元した。
この建物はなんと築157年ということになる。
最後の「本社」まで、頑張って石段を登る。
参拝とは、常に試練でもある。
白山には、三つの峰があり、それぞれに神様が祀られている為、白山神社にも三つの本社がある。
最高峰の御前峰(ごぜんがみね)に祀られる本社には、黄泉の国の王 イザナミノミコト。
大汝峰(おおなんじみね)には、大汝社 越南知社(おおなむちしゃ) オオクニヌシ (国譲りの神)。
剣が峰(けんがみね)には、別山社(べっさんしゃ)アメノオシホミミ(稲穂の神、農業神)。
長い坂道を上がってくる参道。
一番上にいる三体の神様。
まさに、白山に登り参拝することを疑似体験しているようです。
人々が、実際に白山に登らなくても、日常的に白山の神様に参拝できるように作られているのですね。
皆さんと、心を律して、参拝をさせていただきました。
さて、続いて南谷の発掘現場へ。
平泉寺白山神社はその昔、一大勢力を誇った宗教都市。
戦国時代には中世に48社36堂の堂社をもち、寺領9万石、8000人の僧兵、6千の僧坊があったとされています。
度重なる戦の中で、ついに一向一揆により全滅。
今から442年前に、境内はすべて焼失してしまったのです。
発掘を始めてから20年経つも、なんと全体の2%しか発掘されていません。
かなりの規模と言えます。
ここは発掘した石畳や石塀に土壁のレプリカを作った道。
ここを歩く時だけ、時代がタイムスリップしたようです。
その頃の名残を残す石畳。
古代の森を、皆さんと歩く。
今回の最終目的地。
ここが「若宮神社」の「若宮の大杉」です。
皆さん、辿り着くと、声を上げる。
若宮の大杉は、平泉寺焼失の時に、一本だけ残ったスギと言われています。
平泉寺白山神社が宗教都市だった頃を知る、唯一の巨木。
樹齢450年のご神木です。
皆さんでしっかり参拝をさせていただいた後で
ご神木に歌を捧げる。
その場所に体と心を馴染ませるように、思い思いの場所に体を横たえてみる。
森の歌会は、樹木とのコミュニケーションを図るプログラム。
今回は、皆さんで、ご神木に触らせていただきました。
木に手のひらを当て、目をつぶって歌を聴く。
その間、その木の生きている姿をイメージしながら、歌を聴く。
樹木は言葉を話すことができないので、その形で語る。
少しだけ、ご神木の様子をみんなで自然観察を行いました。
千手観音とも言われる若宮の大杉は、圧巻!
自分と森はどんな関係があるんだろう?
「何度も来る神社なのに、こんなに深く森を味わったのは初めて」
「何だか頭がすっきりして、楽になった」
「例えば自分が何かに感動しても、他の人が同じように感動するとは限らない」
「でもこのスギを見たら、この自然の中にいたら、誰もが同じように感動を共有できる」
「小さい頃は野山を駆けまわっていた。今日は久々に森に戻ってきた感じがします」
森で体を横たえながら、神様のスギを見ながら、嬉しそうに皆さんが語ってくれました。
今回は、神社自体が大変力のある場で、1日がかりだった為、皆さんとてもお疲れになったと思います。
でも、終わった後の皆さんのすっきりした顔。
楽しそうな表情を見ると、本当に開催して良かったなあと思いました。
参加してくださった皆さん、どうもありがとうございました!
そして、開催までご協力いただいた、勝山市の皆さん、平泉寺区の皆さん、宮司様、その他関係者の皆さん、本当にありがとうございました!
※ 本イベントは、平泉区の皆様や平泉寺白山神社宮司様に許可をいただき、菩提林と若宮神社でのみ、音楽を奏でたり、イベントとして使用することを承諾いただいております。生態系や苔の生育についての配慮の上で行っていることであり、くれぐれも皆様は、境内にて無許可の演奏や、寝転ぶなどの行為は控えていただきますようお願いいたします。
さて、下記のイベントの参加者を募集しています。
どうかよろしくお願いいたします!
【福井駅前】★10/2(日)森のアーティストと福井の森を語ろう@ふくい夢アート
証の音楽はこちらから聞いてみてください。「パイオニアソング」
森の生き方を知ると、あなたの生き方が変わる。10月は九州で、11月は関東で、森の歌会のご依頼を受け付けております。1本の木があれば、深い自然を歌と共に感じられます。自然体験団体、森のようちえん、子育て支援、福祉施設様などの、体験内容や料金も応相談!
【下記のフォームよりお問い合わせください】
http://akashi.uzura.info/mailform/
【森のシンガーソングライター証(あかし)プロフィール】
森の中で、歌を聴こう。
「森と歌を繋ぐ専門家」として、日本全国の森で、森の歌ライブを展開しています。
森の景色、森の音、焚き火、ナイトウォークなど、様々な自然体験と共に、森の生き方から学ぶ人の生き方を説く「森の歌会」が好評。
クラウドファンディング「【日本初】森と音楽の専門家の大挑戦プロジェクト!失われる森を守るためキャンピングカー生活で全国をまわる!」を達成率132%で達成し、手に入れたキャンピングカー「ココニクル号」で、定住しない生活をしながら、現在日本全国の旅をしています。
本名 山田証。福井県出身。東京都多摩市本拠。シンガーソングライターとしても活動の一方、自然科学にも興味を持ち、林業、造園業、環境教育、インタープリテーションの手法を学ぶ。
2008年「エデン風景」がFM福井主催、福井ホームタウンソングコンテストでグランプリを受賞。
2010年「雨粒ノック」が、エコジャパンカップカルチャー部門エコミュージックにてCMディレクター中島信也氏による「中島賞」を受賞。
2014年 「地球ワット」が、同コンテストにてグランプリを受賞。ミュージシャンとしては初の二度の受賞を達成する。
国土緑化推進機構の機関紙「ぐりーん・もあ 2015 vol.70 夏号」にも登場。
森林インストラクター(全国森林レクリエーション協会)