きらめ樹間伐に行ってきました!7/31(日)森の旅56日目、静岡県牧之原市。
きらめ樹間伐とは?
皮むき間伐の中でも、NPO法人森の蘇りの皆さん、そしてその関係者の皆さんを中心に行われる皮むき間伐を「きらめ樹」と呼んでいます。
日本の間伐問題は深刻です。
間伐が行われないとどうなるのか?
例えば、自然のままの森林であれば、人が何もしなくても自然は勝手に循環し、いろんな生き物が生きる環境を作り上げます。
でも、一度人間が手を加え、その構成を変えてしまった森林については、その先何十年も、何百年も人が管理をしないと、自然の循環が起こりません。
本来であれば低木高木下草、様々な植物が織りなす自然の植生を、スギやヒノキの単一種の森に変えてしまう。
スギやヒノキが、建材などに非常に使いやすい種類であることから、植えられました。
針葉樹の単一種の森は、森の底を暗くし、多くの場合、林床植物の成長を妨げます。
すると、土壌を縛ってくれる林床植物が生えないことで、土はどんどん下に流れ出し、いつしか土砂崩れの危険を招きます。
なお、この環境では他の植物が生えにくく、動物もエサの確保が難しい森ということになります。
それでも人は、戦後の資源不足や国策などの様々な事情から、多くの森をスギやヒノキに変えてきたのです。
ところが、現代になってみると、その木達はほとんど使われず、安い外材の輸入ばかりが増え、木造住宅自体の需要も減り、結果日本の人工林の多くは、手入れをすることもなく放置されることになります。
さて、そうなると困るのは動物達です。
天敵の不在(オオカミの絶滅)により、増えすぎたシカやイノシシ。
人里に食物が溢れすぎて、降りてくるサル。
何より、彼らの住む場所は少なく、食べるものも少ない。
そして、放置され誰も活用できない人工林。
日本の森の問題は深刻なのです。
さて、そこで現れたのが、皮むき間伐です。
「人工林の資源を積極的に使って行くこと」
「日本人が木を使う意識を育てること」
「動物達と共存できる森作り」
を解決に導く一つの方法として、皮むき間伐があります。
こちらが今回の現場の、牧之原市の山林です。
大変多くの木が倒れてしまっております。
これは斜面に生えている木が、土砂の流出などにより根っこごと流されてしまうからです。
細い木を切って、森に光が差し込むようにすること。
残った木を太く成長させること。
下草を生やし、土砂の流出を防ぐこと。
これがまず第一の僕たちがやれることです。
これまでは細い木を切る間伐作業は、専門の林業家しかできませんでしたが、皮むき間伐は女性や子どもでも行うことができます。
皮むきのお手本を見せてくださった大西さん。
まずは、残す木と間伐する木を決めます。
10平方メートルに森を区切った時に、そこに何本の木があり、その直径が何センチなのか?を測ることにより、スギやヒノキが適正に成長できる環境を計算できる方法があるのです。
これは有名な方法で、僕も岐阜森林文化アカデミーの時代に学びました。
赤いテープの巻いてある木が残す木です。
この森では、およそ直径が25センチ未満の木はすでに立ち枯れていることが多く、直径30センチ以上の木は元気に育っていることが分かりました。
すでに森の方で残すべきものを選んでいたということですね。
このスギはまっすぐに立っているも、コブがある。
こぶ病にかかっていても、他の樹木よりははるかに大きくまっすぐに育っていて、残すべき木であると判断されました。
一本一本丁寧に向いて行きました。
「きらめ樹間伐」とは
地域の誰もが参加できる皮むき間伐を「イベント」として行うことにより、地域の人が自分の山を知り、「みんなで森を作る」意識を喚起すること。
そして積極的に、地域の人達の手でイベントを行うことにより、地域の森に関わるモチベーションを維持し、自分たちが資源を持っていることに誇りを持ってもらうこと。
更にその間伐材の流通を地域の人同士で、地域の中で行う仕組みを作ることにより、これまでの材の適正価格に捉われない、資源の循環を行えるようにすること。
ここまでがワンセットで「きらめ樹」なんですね。
これは一時的なブームではなく、継続して何十年も、何百年も地域で継続して行えるような壮大なプロデュースです。
これは結局のところ、一つのNPO法人が、代表である大西さんが頑張るだけではなく、地域の方が、山を持っている方が、自分事として、未来を見据えて、積極的に作り上げることで初めて成立するものです。
森のシンガーソングライターと交流のある、株式会社「森と踊る」の三木さんも、今回ご一緒いただいた「森の蘇り」の大西さんも、この皮むき間伐を使って、国民総間伐ができるとうたっています。
もし全国民が年間13本の間伐ができれば、日本の間伐問題は解決すると言われているそうです。
もちろん、人が森に入ることの安全管理を始め、間伐以外の森の様々な作業は、専門家でないとできないことも多くあります。
まだまだ、きらめ樹材の流通経路、設備の充実、地域と山主さんの継続性など、様々な課題があるのかもしれませんが
これまでは見ているしかできなかった方々が参加できるというやり方は、まったく新しい見方で、日本の林業を変えていくことができると思います。
この森の中でも、森の歌プログラムを体験してもらいましたよ。
寝ころんで聴く、森を祝福する、そして森を美しさを知る。
おまけ。
牧之原の森で出会った生き物達。
(推定)アナグマの巣。
近くに足跡のようなものも発見。間伐をしている下で、実際にアナグマがいたかもしれません。
アズマヒキガエル。
僕が近づいてもひたすらじっとしている。何枚も写真を撮っていたら、ついに威嚇を始めました。
ぷくっと膨らもうとしたところの写真です。
さて、次の森の歌会は
【群馬】ブナの原生林に癒されたい★8/27(土)「森の歌会~奥利根水源の森」@みなかみ高原
尾瀬にほど近いみなかみ高原です。森のシンガーソングライターが、森の歌を共にガイドを行います。ご家族で、夏休みのご旅行に森の歌会はいかがでしょうか。
【森のシンガーソングライター証(あかし)プロフィール】
森の中で、歌を聴こう。
「森と歌を繋ぐ専門家」として、日本全国の森で、森の歌ライブを展開しています。
森の景色、森の音、焚き火、ナイトウォークなど、様々な自然体験と共に、森の生き方から学ぶ人の生き方を説く「森の歌会」が好評。
クラウドファンディング「【日本初】森と音楽の専門家の大挑戦プロジェクト!失われる森を守るためキャンピングカー生活で全国をまわる!」を達成率132%で達成し、手に入れたキャンピングカー「ココニクル号」で、定住しない生活をしながら、現在日本全国の旅をしています。
本名 山田証。福井県出身。東京都多摩市本拠。シンガーソングライターとしても活動の一方、自然科学にも興味を持ち、林業、造園業、環境教育、インタープリテーションの手法を学ぶ。
2008年「エデン風景」がFM福井主催、福井ホームタウンソングコンテストでグランプリを受賞。
2010年「雨粒ノック」が、エコジャパンカップカルチャー部門エコミュージックにてCMディレクター中島信也氏による「中島賞」を受賞。
2014年 「地球ワット」が、同コンテストにてグランプリを受賞。ミュージシャンとしては初の二度の受賞を達成する。
国土緑化推進機構の機関紙「ぐりーん・もあ 2015 vol.70 夏号」にも登場。
森林インストラクター(全国森林レクリエーション協会)
証の音楽はこちらから聞いてみてください。「パイオニアソング」
森の生き方を知ると、あなたの生き方が変わる。8月は栃木、群馬で、9月は北陸で、森の歌会のご依頼を受け付けております。1本の木があれば、深い自然を歌と共に感じられます。自然体験団体、森のようちえん、子育て支援、福祉施設様など、体験内容や料金も応相談!
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