1000年続く日本で最後の原生林「雄島」@福井県坂井市

入り組んだ枝のタブノキ。

日本にはほとんど、原生林は残っていない。

皆さんは「原生林」というと、どんなイメージをしますか?

原生林とは、その植生が現れてから、人の手が加えられていない森のことを言います。

厳密に言うと、人の手で植生や生態系の変化を加えられていない、ということでしょうか。

このような森は、日本にはほとんど残っていないと言われています。

雄島は、1000年も前から一度も人の手が加えられていないということで、日本海側の海岸線における植生としては、日本で最後の原生林と言われています。
(定かではありませんが、僕は福井にいた時代にそのように教わりました)

ちなみに、人の手で植えられた森を「人工林」
人の手が加えられても、その後自然植生が復活した森を「二次林」と言います。

日本の森のほとんどは、この「人工林」「二次林」で占められています。

さて、そんな雄島ですが

なぜ、1000年も原生林が護られて来たのでしょうか?

一つには、神社の境内であることが、関係しています。

雄島は「大湊神社」の境内なのです。

大湊神社

白雉年間に勤請されたと伝えられる式内社。源義経が落ち延びる際に立ち寄って家臣の兜を奉納したとか、社が朝倉義景の後援を受けていた際に明智光秀が訪れて漢詩を詠んだという話もある。
かつての社殿は織田信長の兵によって焼き払われており、21世紀に残る社は棟札によると元和7年(1621年)に造立されたものである。本殿・拝殿ともに福井県の文化財に指定されている。

(https://ja.m.wikipedia.org/wiki/雄島)

神道は、本来「八百万の神様」とし「草木一本にも神が宿る」とするように、自然自体を信仰の対象としてきた宗教です。

例えば、作法として、社にお参りに行くとしても、神が宿るのは社ではなく、その周りの草木の方と言えるのです。

なので、原則として「神社の境内では木を伐らない」ようです。

なので、どの地方に行っても、神社の境内にはその地域における古い植生が残っているとされ、学者さんなどは、植生を調べる時はまずは神社に行くほど。

さて、そんな雄島に、僕と一緒に入ってみましょう。

雄島は、島ですが、このように橋がかかっているので、歩いて渡ることができる。
雄島の橋。
雄島はよく心霊スポットとも言われているけど、何が怖いって、僕はこの朱塗りの橋が一番怖い。

面積は約10.2ヘクタールで、周囲2キロメートルは海食崖になっている。島全体が流紋岩でできており、近隣の東尋坊同様に柱状節理が発達しているほか、板状節理も見ることができる。スダジイ、タブノキ、シロダモのように温暖な気候を好む植物が生える。
(https://ja.m.wikipedia.org/wiki/雄島)

雄島の側面。

島の入口から、このように鳥居に迎えられる。
入口の鳥居。

突然、どこに連れていかれるんだろうと思うくらいの長い石段を登らされる。
でも、この辺りからすでに、珍しい植生の宝庫。
長い石段。
この石段の両側は、ヤブニッケイの原生林。

本社へ続く参道。
この両側にあるのは、本当に古いタブノキ。他にも(確かに1000年は経っていそうな)古木が見え隠れする。
参道。

巨大なタブノキ。

僕が驚いたのは、この15mはあろうかと言うヤブツバキ
ヤブツバキ。
「ヤブツバキってこんなに大きくなるんだ…」

普段は生け垣や庭でしか見ないツバキのイメージからは程遠い。

ヤブニッケイの葉。
ヤブニッケイの葉。

ヤブニッケイの純林。
ヤブニッケイの純林。

曲がりくねった森。

それにしても、なぜこんなに曲がりくねっているのでしょう?

皆さんは、分かりますか?

これは、北陸のスギが豪雪によって根元で曲がる現象と同じです。

ここでは、風による影響かと思います。

風の強い土地の木々は、風の形をしている。

風の強い山頂に登ると、木々は曲がりくねり、地面を這うように生えているのをよく目にします。

雄島も海からの風が強く、芽を出した時からこの風に当てられている木々は、風になびいていろんな形を取ります。

ほとんどの木は風を受け流しやすいように、細くひょろっとしていて、密生しているので、お互いの制空権を配分するように、また一つ一つの枝が、場所を選び生えています。

なんて、美しい屋根。
入り組んだ枝のタブノキ。

雄島の森を抜けると、ようやく島らしい風景が見えます。
島らしい風景。

今日はたくさんの人が、釣りに来ていました。
岸壁で釣りをする。

今回は、雄島の樹木を中心にご案内しましたが、雄島にはまだまだ皆様にご紹介したいポイントがたくさんあります。

地質、植生、そして文化。

次回、雄島を訪れる時は、また別の視点でレポートさせていただければと思います。

ここまでお読みいただき、どうもありがとうございました!

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【森のシンガーソングライター証(あかし)プロフィール】

森の中で、歌を聴こう。

「森と歌を繋ぐ専門家」として、日本全国の森で、森の歌ライブを展開しています。
森の景色、森の音、焚き火、ナイトウォークなど、様々な自然体験と共に、森の生き方から学ぶ人の生き方を説く「森の歌会」が好評。

クラウドファンディング「【日本初】森と音楽の専門家の大挑戦プロジェクト!失われる森を守るためキャンピングカー生活で全国をまわる!」を達成率132%で達成し、手に入れたキャンピングカー「ココニクル号」で、定住しない生活をしながら、現在日本全国の旅をしています。

本名 山田証。福井県出身。東京都多摩市本拠。シンガーソングライターとしても活動の一方、自然科学にも興味を持ち、林業、造園業、環境教育、インタープリテーションの手法を学ぶ。

2008年「エデン風景」がFM福井主催、福井ホームタウンソングコンテストでグランプリを受賞。
2010年「雨粒ノック」が、エコジャパンカップカルチャー部門エコミュージックにてCMディレクター中島信也氏による「中島賞」を受賞。
2014年 「地球ワット」が、同コンテストにてグランプリを受賞。ミュージシャンとしては初の二度の受賞を達成する。

国土緑化推進機構の機関紙「ぐりーん・もあ 2015 vol.70 夏号」にも登場。

森林インストラクター(全国森林レクリエーション協会)

森の歌会 vol.19 あの山に登ろう

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