都市部での森のあり方を模索する。囲いやまの森~21世紀の森と広場@千葉県松戸市

囲いやまの森にて。

都市部に残る森と、僕たちはどんな風に付き合って行けばいいんだろう?

今回、松戸市に残る貴重な緑地「囲いやまの森」で、ごろんコンサートの体験会をさせていただきました。

実は下見とご挨拶のつもりで行ったのですが、松戸市の森で活動する様々な方にお集まりいただき、なんと30名近くの方にごろんコンサートを体験いただくことになりました。

松戸の皆さん、本当にありがとうございました!

日本の森林率は67%。世界でも有数の森林大国として知られていますが、千葉県松戸市の森林率はなんと約2%。
都市部で残された森と、我々がどう付き合っていくのかが問われる地域です。

都市でも田舎でも自然離れが進んでいく中で、日本にはこれほどの森があるのに、いったいどうやって付き合って行けばいいんだろう?

今回は「囲いやまの森」「21世紀の森と広場」という二つの対照的な森をご案内いただいたので、僕が個人的に感じた目線からレポートしたいと思います。

自然のままで残したい自然「囲いやまの森」。
囲いやまの森看板。

囲いやまの森は、民有地の森だそうです。
常盤平の駅から歩いていくと、約2haのうっそうとした森が住宅街の中に現れます。

「囲いやまの森の会」の方々が、除伐や掃除、下草狩りなどの里山作業をしている森です。
地域の方に親しんでもらえるイベントも実施しています。

この時勢、多くの民有地の森が税金などの関係で維持できず、どんどん宅地化されていきます。
これだけの森を民有地のままに残してくださっているのはすごいことだと思います。所有者の方の意識の高さに頭が下がります。

「囲いやま」とは「畑に囲まれたやま」という意味なのだそうです。
この地域が畑に囲まれていた時代から、森だったのでしょうか。
長い間、放置されていたこの森を維持する為に2005年6月頃から「囲いやまの森の会」の皆さんの活動が始まりました。

うっそうと茂るアオキ。

林内には、うっそうと茂るアオキを始めとした常緑陰樹。
これだけ茂っているということは、放置されていた期間も長かったということ。

うっそうと茂る森は、人が立ち入れない印象も与えますよね。
緑地保全に求められることは、一般的には

生態系の保全がある程度行われていること。
地域の人が気軽に親しめるような森であること。

この両方を達成することは難しい。
「囲いやまの森の会」の人たちは、この緑地をいくつかのエリアに分けて整備しています。

貴重な植物の保存地区タヌキやウグイスの生息地として残す地区イベントなどで使える広場などなど。

それでも、葉っぱが落ちるなどの近所からの苦情があったり、都市部での森の残し方は大変な苦労を伴うようです。

苦情ではなく、自分と関係のある森として親しんでもらうこと。
なるべくあるがままの自然の姿を受け入れてもらうこと。

こういうことが地域の共通意識として発展するといいのにと思います。

「囲いやまの会」の皆さん、応援しています!

囲いやまの森の小屋。

市民の利用しやすい森を作る「21世紀の森と広場」。

さて、千駄堀にある広大な公園「21世紀の森と広場」もご案内いただきました。

この公園はとにかく広い!
広大な敷地の中が、いくつかのエリアに分かれて市民が使いやすいよう整備されています。

もともとは自然のままの広大な森だったところを残す場所は残し、整備するところは整備して作られています。

例えば「千駄堀池」は、休耕田を造成し人口の池にした場所。
とにかく広い池。

千駄堀池は3つの谷津が集まって出来ている人工の池で、広さは東京ドーム約1個分(5ヘクタール)の大きさがあり、湧水量は1日で約1,000トンもある雄大な池です。池の中央には水鳥等が営巣出来るように島が作られ、北側は生きもの専用区域として人の立入りを制限し自然環境の保全に努めています。
(http://www.city.matsudo.chiba.jp/shisetsu-guide/kouen_ryokuka/top/moritohirobatte/midokoro.html)

池の中央部にはヒメガマの群生が見られ、この植生ならではの水鳥が集まっていました。

池の淵から白い靄が立ち上がっています。何かと思ったら
時刻を知らせる霧。

なんと、時刻を知らせる時報!

ここでは、自然の音も大切にする為、定期的な時報の代わりに靄を噴出することで、時間を知ります。
なんというアイデア!!

続いて「みどりの里」
ナノハナ畑。
この時期はナノハナが咲き、向こうにはウメがきれいに並んでいます。
まさに昔の里のような風景です。

この一帯には畑や田んぼがあります。
農体験もできるようになっているのでしょうか。
植えてある木も、収獲ができる果樹が多いようです。

都市公園の中でこんなに「農を凝らした」ところは初めて見ました。

他にも芝生の広場に小川が流れている「光と風の広場」や、バーベキュー場などがある「木もれ陽の森」など、市民が気軽に森を活用できるようあらゆる設備が揃っています。

これらの広場のまわりや境界には、うっそうとした森を残しています。
この公園ができる前からここにあったであろう、とても古い森です。
常緑樹であるシラカシやシイなどの古い木も見られます。

その中を歩いて行くと、工事業者さんがトレイルの拡張工事を行っていました。
いざという時に緊急車両が通れるようにする為に、道の幅を広げているのです。
通路の拡張。
これ、ちょっと道幅を広くしようとするだけで大変な重労働ですよね。
どの木を切る、残すなどの判断も慎重に行っています。

僕がこの「21世紀の森と広場」を見て素晴らしいと思ったのは、単なるアウトドアを楽しむ公園ではないということです。

生態系を守るメッセージを伝えるエリアがあり、人と自然が暮らす里を学ぶエリアもある。
それでいて、メッセージを知らないいろんな方も、気軽にアウトドアを楽しめる場になっている。

市民が自然に親しめるよう、いろんなイベントが定期的に行われ、
小中学校、幼稚園、保育園の遠足での利用の為のプランまで公開している。

人と自然を結び付けようと、精力的に動いている!

しかしこの森にはすでに、「囲いやまの森」にあるような生命力に溢れた自然の姿はないのです。
森の活用の仕方にも、いろんな方法があると感じます。

オープンフォレストとは?

さて、松戸にはまだまだ残された様々な緑地があります。
ある緑地はこんな風に一般に開かれているも、何をしているのか一般市民には分からないような森も。

「オープンフォレスト」は、そんないくつかの森を一斉に公開し、巡ってもらうためのイベントです。

いつも通るこの森は、どんな森なんだろう?
どんな人たちが関わっているんだろう?

そんなお話が聞けるイベントです。
「知らない森」から「知っている森」になれば、地域の人も「葉っぱが落ちる」などの苦情を言うのではなく、一緒に活動してくれる仲間になるのではないでしょうか。

一般の人たちが、普段は入れない森を巡る。

僕はこれを、すごく面白い試みだと思いました。

「オープンフォレスト in 松戸」
http://www.open-forest.org/

松戸市は、こんな環境だからこそ、残された自然と人がどう向き合うかを問われている。
この街で、官民一体となって様々な試みがなされていることを、今日は見学させていただきました。

ご案内いただいた寺田さん、どうもありがとうございました!

証と寺田さん。

「囲いやまの森の会」
http://matsudo-satoyama.org/

「21世紀の森と広場」
http://www.city.matsudo.chiba.jp/shisetsu-guide/kouen_ryokuka/top/index.html

さて、次回のオススメイベントはこちら。

あなたと森の付き合い方を教える自然体験ライブ!

【山梨】3/4(土)時間の止まった廃校で薪ストーブでくつろぐ「ごろんコンサート 廃校カフェ」@北杜市フィトンチッド

フィトンチッド全景。
1000円から支援できます!!森の旅をあなたの力で!
クラウドファンディング開始!「ごろんコンサートを全国の森で開催したい!」

証の音楽はこちらから聞いてみてください。「パイオニアソング」

森の生き方を知ると、あなたの生き方が変わる。森の歌会のご依頼を受け付けております。1本の木があれば、深い自然を歌と共に感じられます。自然体験団体、森のようちえん、子育て支援、福祉施設様などの、体験内容や料金も応相談!

【下記のフォームよりお問い合わせください】
http://akashi.uzura.info/mailform/

【森のシンガーソングライター証(あかし)プロフィール】

森の中で、歌を聴こう。

「森と歌を繋ぐ専門家」として、日本全国の森で、森の歌ライブを展開しています。
森の景色、森の音、焚き火、ナイトウォークなど、様々な自然体験と共に、森の生き方から学ぶ人の暮らし方、生き方を学ぶ「ごろんコンサート」が好評。

クラウドファンディング「【日本初】森と音楽の専門家の大挑戦プロジェクト!失われる森を守るためキャンピングカー生活で全国をまわる!」を達成率132%で達成し、手に入れたキャンピングカー「ココニクル号」で、定住しない生活をしながら、現在日本全国の旅をしています。

本名 山田証。福井県出身。東京都多摩市本拠。シンガーソングライターとしても活動の一方、自然科学にも興味を持ち、林業、造園業、環境教育、インタープリテーションの手法を学ぶ。

2008年「エデン風景」がFM福井主催、福井ホームタウンソングコンテストでグランプリを受賞。
2010年「雨粒ノック」が、エコジャパンカップカルチャー部門エコミュージックにてCMディレクター中島信也氏による「中島賞」を受賞。
2014年 「地球ワット」が、同コンテストにてグランプリを受賞。ミュージシャンとしては初の二度の受賞を達成する。

国土緑化推進機構の機関紙「ぐりーん・もあ 2015 vol.70 夏号」にも登場。

森林インストラクター(全国森林レクリエーション協会)

森の歌会 vol.19 あの山に登ろう

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